
基礎体温
起床時,起き上がらないうちに体温計で舌下にて測定します(起き上がると運動性の体温上昇があります。なので、基礎体温を測定する際は、毎日同じ時間に測定することよりも起きた直後の測定を優先してください)。
排卵がある人は二相性の基礎体温表になります。これは、黄体ホルモンが排卵後に分泌されるためで、男性では決して二相性にはなりません。しかしあくまでも基礎体温表は目安で、二相性になっていても、超音波検査をおこなってみると排卵されていない場合もあります。また、体温が一番下がった日が排卵日と思われていますが、やはりこれも目安であり、必ずしもこの日に排卵があるわけではありません。けれども、基礎体温表は検査を進めていく上で治療方針を決める際に大変重要なものです。
基礎体温は月経周期のホルモン状況を表しますので、病院に行く日だけのデータでは意味がありません。病院で見てもらう際は、最低でも1ヶ月以上のデータを持参するようにしましょう。
超音波検査
排卵直前の卵胞径を計測することで、排卵が近いのか、それとも排卵が終わっているのか調べることができます。
この結果からタイミング法の指導や人工受精(IUI/AIH)を実施することがあります。
性交後検査
フーナーテストと呼ばれることが多いです。
性交後の子宮頚管粘液内を採取して、そのなかの精子を確認します。精子が複数確認できれば良好です。基本的にはタイミング法の指導から不妊治療が始まります。
不良な場合は男性不妊や免疫系不妊を疑います。タイミング法では妊娠が難しいため、人工受精や体外受精が治療の選択肢となります。
ホルモン検査
D3−D5(月経がはじまってから3日目−5日目)血液検査です。月経周期で女性のホルモン(卵胞刺激ホルモン:FSH、黄体形成ホルモン:LH)の値は大きく変動します。そこで、まだあまり変動をしていないこの時期に基礎値の確認をします。また、ホルモン検査は排卵の少し前の時期にもおこないます。この場合には卵の成熟度を示すホルモン(エストラジオール:E2)と排卵の引き金になるホルモン(黄体形成ホルモン:LH)の値を調べて、排卵時期を予想します。そのほか、状況によりプロラクチン(PRL)や甲状腺関係のホルモン(TSH,T3,T4)や黄体ホルモン(プロゲステロン:PROG)を調べる検査をすることがあります。
| 低温期(基礎値) | 排卵期 | 高温期 | 閉経後 | 男性 |
FSH(卵胞刺激ホルモン) | 3.5~12.5(mIU/ml) | 4.7~21.5 | 1.7~7.7 | 25.8~ | 1.5~12.4 |
LH(黄体形成ホルモン) | 2.4~12.6(mIU/ml) | 14.0~95.6 | 1.0~11.4 | 7.7~58.5 | 1.7~8.6 |
E2(エストラジオール) | 25~195(pg /ml) | 66~411 | 40~261 | 10~40 | 14~60 |
PROG(プロゲステロン) | 0.2~1.5(ng /ml) | 0.8~3.0 | 1.7~27.0 | 0.1~0.8 | 0.2~1.4 |
PRL(乳腺刺激ホルモン) | 3.4~24.1(ng/ml) | 3.4~24.1 | 3.4~24.1 | 3.4~24.1 | 4.1~18.4 |
TSH(甲状腺刺激ホルモン) | 0.54~4.54(μIU /ml) | 0.54~4.54 | 0.54~4.54 | 0.54~4.54 | 0.54~4.54 |
- PRLは妊娠中に多量に分泌され、乳腺を成長させると同時に月経が起こらないようにする作用があります。なので、PRLが多いと排卵障害の要因となります。PRLはPRL産生腫瘍や甲状腺機能低下症などで分泌量が増加します。
- LH/FSH比は通常1以下(すなわちLH<FSH)ですが、1以上(すなわちLH≧FSH)の場合には多嚢胞性卵巣の可能性が高く、排卵が障害されます。
子宮卵管造影
子宮・卵管の形態や卵管疎通性を検査します。両側の卵管が高度の狭窄または閉塞していた場合は、卵管形成術という手術や体外受精の適応になります。
閉塞がなければ、この検査の後は卵管の通りが良くなり、タイミング法による妊娠率の向上が確認されています。水性の造影剤より油性の造影剤のほうが、さらに向上が見込まれるとの報告もあります。
免疫系検査
採血をしての血液検査で調べます。
抗精子抗体が陽性であった場合は人工受精でも妊娠が難しく、体外受精の適応になります。