卵巣刺激
卵巣から卵子を採取するには、まず卵胞を成熟させる必要があります。そのため、薬剤を投与して卵胞を刺激する方法が用いられます。その方が多くの卵子を確保でき、結果として採卵ごとの妊娠率がっ上昇するためです。
ただし、薬剤を投与するより、自然周期での採卵の方が卵子の質が良いとする考え方もあり、自然周期採卵を第一選択とする施設もあります。
卵胞穿刺
卵巣に卵胞が成熟したら、超音波ガイド下で専用の針を用いて卵巣に穴を開け、卵胞内の液体を吸引することで卵子を収集します。局所麻酔で実施する場合と全身麻酔で実施する場合があります。
検卵
収集した卵子は、顕微鏡下で評価された後、専用の培養液に入れられ、体外受精のための準備が整います。一般的に2時間ほど卵子を成熟させる時間を置き、受精処理を行います。
精子採取
原液では細菌や死滅精子が混入しているため、それを取り除く処理をします。詳細はこちらをご覧ください。
受精
受精処理には媒精(IVF)と顕微授精(ICSI)があります。精液の状態が良好であれば媒精、不良であれば顕微授精が選択されます。媒精の受精率が不良だった場合は、次から顕微授精が選択されることもあります。
胚の培養
受精卵は培養器に移され、細胞分裂を繰り返し、胚が形成されます。通常、培養は2〜6日間続きます。
培養液は様々なメーカーがつくっており、それぞれ特徴があります。詳細はこちら。
胚の選別
胚は、形態や発育状態などの基準に基づいて選別されます。
胚の選別には形態学的分類であるVeeck分類やGardner分類が用いられます。また、最近ではタイムラプスインキュベーターの発明により、前核の消失・分割のタイミングなどの時間軸による評価や分割様式による評価、さらにはAIによる評価まで多くの情報から妊娠率が高い受精卵を選別することが可能となりました。
タイムラプスインキュベーターは高価な機器であり、導入できていない施設も多いですが、そこから得られる受精卵の情報量は莫大であり、タイムラプスインキュベーターの有無で治療する施設を選んでも良いと思います。
胚の移植
胚は、専用のカテーテルを使って子宮内腔に移植されます。
ホルモン剤を使用して採卵している場合は子宮の環境が整っていないため、確保できた受精卵はすべて凍結され、別の周期での移植となります。