高い妊娠率を提示している病院は良い病院か?
胚培養士をしていると上記のことをよく聞かれます。
結論を言えば、
「分からない」
です。
理由ですが、移植毎の妊娠率は胚の選別を厳しくすれば高くなるからです。施設によっては5日目胚盤胞で3BB以上の良好胚盤胞しか移植しない施設もあり、高い妊娠率をHPに載せています。
しかし、不良胚でも妊娠する可能性があり、施設基準に該当しないからといって破棄するのが本当に良い病院なのでしょうか?
「他の施設では不良胚しかできずに移植まで進めませんでした。」と言う患者さんが来ることがありますが、確かに良好胚とは言えないながらも、出産に至ったケースは多数あります。
全ての施設がそうしているとは言いませんが、採卵件数の割に移植件数が少ない施設は怪しんだほうが良いかもしれません。あまりにもHPで学会報告より妊娠率が高いことを謳う施設が多い気がします。
他にも大学病院や総合病院では、他院から難治症例が紹介されたり、子宮関係の手術が必須だったりするので妊娠率が低くなる傾向はありそうです。しかし、決して治療技術が低いわけではないと思います。
良い施設の選び方
まずgoogle mapの口コミですが、昔は割と良かったのですが、最近は業者の営業もあり、あまり当てになりません。きちんと何十件以上の口コミを書いている人のレビューなら参考になりそうですが。。
というわけで、まず必須なこととして医師が、
「生殖医療専門医」
を取得していることかと思います。
この試験は難易度が高く、勉強している医師でも落ちます。結構な頻度で。
私の経験上、この資格を持っている医師は、向上心があり、最新の技術にもアンテナを張っている医師が多かったので、これを良い施設の条件として挙げておきます。
医師がこの資格を取得していないと、先進医療が実施できない等の制約があることからも、この資格の重要度が分かるかと思います。
培養室関係で言えば、
「タイムラプスインキュベーター」と「紡錘体可視化装置」
は欲しいところです。
通常の培養とタイムラプスインキュベーターによる培養では情報量が圧倒的に違います。どこが違うかは別の記事でご紹介しますが、胚の成長を動画で確認できるのは大きなメリットです。
顕微授精で重要なことは、穿刺位置とタイミングです。その2つは大体の目安はつけれますが、確定できるのは紡錘体可視化装置のみです。
その他にも着床前診断や学会発表とか待ち時間の長さや利便性など色々ありますが、とりあえず上記の部分を押さえておけば、まず間違いないと思います。
皆様が治療をお任せできる良い施設に巡り合えることを祈っています。
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