性周期とホルモン
女性の生理(月経)や排卵といった、性に関係する周期的変化には、脳の視床下部や下垂体、卵巣から分泌される各種のホルモンが周期的に増加したり減少したりすることによって起こります。どんなホルモンが、どの器官に、どのような働きかけをしているのかを理解しておきましょう。
①視床下部から分泌されるゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)の律動的な分泌により、下垂体で卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されます。FSHは卵巣を刺激して卵巣内の卵胞を発育させます。
②成熟した卵胞からは、エストロゲンが分泌されます。エストロゲンは子宮に働きかけて子宮内膜を厚くし、受精卵を受け入れる準備を整えます。このエストロゲンが血液中に増えていくと、視床下部と下垂体に逆に働きかけ(フィードバック)、卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌を抑制し、下垂体を刺激して黄体化ホルモン(LH)の大量の分泌を促進します。
③LHは成熟した卵胞に働いて排卵を促し、卵胞は黄体を形成します。黄体からはE2、プロゲステロン(PROG)が分泌され、子宮内膜を維持し、胚が着床しやすい状態にします。
④黄体の寿命は10~14日間です。この期間を過ぎると黄体はE2、PROGの分泌をやめ、子宮の内膜が崩れ月経が起こります。
⑤E2、PROGの血中濃度が下がると、①に戻り、月経周期が始まります。
※ ④の段階で胚が子宮に着床すると、胎盤からヒト絨毛性ゴナドトロピン(hcG)が放出され、子宮の内膜を維持するため月経は起こりません。