妊娠率
人の1周期あたりの妊娠率は約20%にです。「積極的に子づくりを続けたところ、1年で9割以上のカップルが妊娠した」ということですね。
ですが、すべてのカップルの妊娠率が20%ということではありません。妊娠率は年齢や喫煙などのライフスタイルに多大な影響を受けるからです。特に女性の年齢には大きく影響されます。下のグラフは、男女の年齢別の「妊娠するまでにかかった期間」です。
男性と女性の違いは一目瞭然です。男性は年齢による差がほとんど見られませんが、女性は年齢が上がるにつれて、妊娠するまでに時間がかかっています。
そのため、健康上は問題のないカップルでも、女性の年齢によって、妊娠のしやすさは左右されることがわかります。そして、近年は晩婚化や晩産化の影響で、子づくりをはじめたときには、すでに「妊娠まで時間がかかる年齢」になっていて、そのため「なかなか妊娠しない」と感じる人が多くなっていることが想定できます。
なぜ女性の年齢が重要か
妊娠率が女性の年齢に左右される理由は「卵子の老化」と予想されています。卵子は胎児のときにつくられ、その後、増えることはありません。ですので女性の年齢=卵子の年齢と言えます。それが染色体異常の原因となり、結果的に妊娠率を低下させます。
不妊とは
妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、1年以上妊娠しない場合をいいます。
実はこの定義は昨年度日本産婦人科学会によって訂正されたばかりです。それまでは、2年以上妊娠しない場合を不妊と定義していました。
海外の諸機関(WHO, ICMART, ASRM, ESHRE)がinfertility(不妊)の定義を1年の不妊期間によるとしていることから、日本産婦人科学会用語集にある不妊(症)の定義の不妊期間について、従来の定義の「2年というのが一般的」を「1年というのが一般的」と変更するのが適当であるとの結論に達しました。わが国において、女性の晩婚化やキャリア形成指向、その他の理由により女性の妊娠する年齢が上昇する中、不妊(症)の定義の変更により、女性がより早期に適切な不妊治療を受けることにつながると期待されます。日本産婦人科学会HPより